「永代たたら」と匠技

 

日本の鉄や鋼は、明治時代までは主として砂鉄を用い「たたら吹き」といわれる方法で造られましたが、この製鉄法は、近世に入って中国山地において完成したとされています。砂鉄採取方法の改良、天秤鞴の発明、地下構造の改良などの技術革新により、従来の簡易な「野だたら」から「高殿(たかどの)」と呼ばれる建屋内で操業する「永代たたら」あるいは「高殿たたら」と呼ばれる操業形態が普及し、また、良質な原料砂鉄や豊富な森林資源に恵まれたことも加味して、日本の鉄の主産地としての地位を確立していきます。
展示室の中央には、永代たたらの炉をそのまま再現し、国の重要有形民俗文化財指定の天秤鞴や各種の操業用具を中心に、たたら製鉄の生産物である鉧(けら)塊や玉鋼、庖丁鉄などや鉄穴流し(かんなながし:砂鉄採取法)、高殿(たたら工房)、床釣り(たたら工房の地下構造)の模型などを展示しています。その他、金屋子信仰、山内(さんない:たたら集落)の生活などの状況の展示および現在、島根県横田町で稼動する「日刀保たたら」の操業の様子の映像を交えて、江戸~明治時代にかけて中国山地で盛んに行われた「たたら製鉄」の実体を紹介します。

 

第1展示室の主な展示品の紹介